『論語注疏』学而篇第五章「子曰道千乗之國〜」②
前回からの続きで今回は疏から始まります。
<原文>
子曰道至以時
<訓読>
子曰くから時を以てすに至るまで。
<現代語訳>
子曰くから時を以てすに至るまで。
<原文>
正義曰此章論治大國之法也
<訓読>
正義に曰く「此の章大國を治むるの法を論ずるなり。」と。
<現代語訳>
『論語正義』に「此の章は大国を統治する法について論じている。」とある。
<原文>
馬融以為道謂為之政教
<訓読>
馬融道を為すを以て、之政教を為すと謂ふ。
<現代語訳>
馬融は「道を為す」を解釈して、「政教を為す」とし、
<原文>
<訓読>
<現代語訳>
<原文>
言為政教以治公侯之國者擧事必敬慎與民必誠信省節財用不奢侈而愛養人民以為國本作事使民必以其時不妨奪農務
<訓読>
言ふこころは、政教を為すを以て公・侯の國を治むる者は、事を擧ぐるに必ず敬慎なるべく、民の與に必ず誠信なるべく、財用を省節するべく、奢侈をせず、而して人民を愛養し、以て國の本と為し、事を作し民を使ふに必ず其の時を以てし農務を妨奪せざるべし。
<現代語訳>
馬融の言うところは、政教を為して公・侯の国を治める者は、政を為すに必ず慎み、民のために必ず誠の心を尽くし、財を節約するために贅沢をせず、人民を愛し養い、人民が国の根幹であるとする。事業を行う為に人民を使役するに及んでは十分に時期を鑑みて農業を妨害しその作業時間を奪わないようにしなければならない。
<原文>
此其為政治國之要也
<訓読>
此れ其れ政を為し國を治めるの要なり。
<現代語訳>
このことは政を為して国を治めるための要である。
<原文>
包氏以為道治也
<訓読>
包氏以為へらく「道」は「治」なり。
<現代語訳>
包咸は「道」を解釈して「治」とし、
<原文>
千乗之國百里之國也
<訓読>
千乗の國は百里の國なり。
<現代語訳>
千乗の国は百里の国のこととしている。
<原文>
夏即公侯殷周惟上公也餘同
<訓読>
夏には即ち公・侯、殷・周には惟だ上公のみなり。餘は同じ。
<現代語訳>
夏には公・侯の官があり、殷・周には上公の官が置かれた。他の官職に関しては同じである。
<原文>
注馬曰道至存焉
<訓読>
注の「馬曰道」から「存焉」に至るまで。
<現代語訳>
注の「馬曰道」から「存焉」に至るまで。
<原文>
正義曰以下篇子曰道之以政故云道謂為之政教
<訓読>
正義に曰く「下篇に「子曰く之を道びくに政を以てす」とあるを以て、故に「道は之が政教を為すを謂ふ。」と云ふ。」と。
<現代語訳>
<原文>
<訓読>
『史記』に「齊の景公の時、司馬田穰苴は善く兵を用ひる」と有る。
<現代語訳>
『史記』に「齊の景公の時、司馬田穰苴は用兵の術に優れていた。」とある。
<原文>
周禮司馬掌征伐
<訓読>
『周禮』、司馬は征伐を掌るとす。
<現代語訳>
『周禮』に司馬は征伐を掌る、とある。
<原文>
<訓読>
六國の時、齊の威王大夫をして古の兵法を追論せしめ、穰苴を其の中に附し、凡そ百五十篇、號して『司馬法』と曰ふ。
<現代語訳>
戦国の時、齊の威王は大夫に命じて古代の兵法に意見を続けて論じさせ、穰苴もその対象とし、約百五十篇、『司馬法』と名付けた。
<原文>
此六尺曰歩至成出革車一乗皆彼文也
<訓読>
此の「六尺曰歩」から「成出革車一乗」に至るまで皆彼の文なり。
<現代語訳>
此の「六尺曰歩」から「成出革車一乗」に至るまでは全て『司馬法』の文章である。
<原文>
引之者以證千乗之國為公侯之大國也
<訓読>
之を引く者は千乗之國を以て證するに公・侯の大國と為す。
<現代語訳>
『司馬法』を引用する者は千乗の国を説明するのに公・侯の大国であるとする。
<原文>
云然則千乗之賦其地千成者以成出一乗千乗故千成
<訓読>