一週間ほど間が空いてしまいました。今回も相変わらず、学而篇第五章の注疏の訓読訳になります。
<原文>
必有二法者聖王治國安不忘危
<訓読>
必ず二法有る所以は聖王の國を治むるに、安にして危を忘れざればなり。
<現代語訳>
出軍の法が必ず二つあるのは、聖王が国を統治するにあたり、平和であっても有事を忘れずない為である。
<原文>
故今所在皆有出軍之制
<訓読>
故に今の在る所は皆出軍の制有るなり。
<現代語訳>
故に現在、どの国にも出軍の制度があるのである。
<原文>
若従王伯之命則依國之大小出三軍二軍一軍也
<訓読>
若し王伯の命に従はば、則ち國の大小に依り、三軍・二軍・一軍を出だすなり。
<現代語訳>
もし王・伯の命令に従えば、国の大小に依って、三軍・二軍・一軍を出軍させるのである。
<原文>
若其前敵不服用兵未已則盡其境内皆使従軍
<訓読>
若し其れ前敵服せず、兵を用ふること未だ已まざれば、則ち其の境内を盡し皆従軍せしむ。
<現代語訳>
もしそれであっても、敵が降伏することなく、戦がまだ止まないようであれば、領内の人民全てを動員し、皆従軍させる。
<原文>
故復有此計地出軍之法
<訓読>
故に復た此の計地出軍の法有り。
<現代語訳>
故に此の土地に関する計測には出軍の法があるのである。
<原文>
但郷之出軍是正故家出一人
<訓読>
但し郷の出軍は是正にして、故に家より一人を出だす。
<現代語訳>
ただし、郷の出軍は決まっているので、一家につき一人を従軍させる。
<原文>
計地所出則非常故成出一車
<訓読>
地の出だす所を計るは則ち非常なり、故に成は一車を出だす。
<現代語訳>
土地の産出できる軍事資源を計ることは非常である。故に四方十里の土地からは車一台を徴発するのである。
<原文>
以其非常故優之也
<訓読>
其の非常なるを以て故に之を優にするなり。
<現代語訳>
非常のことであるので、このことは要なのである。
<原文>
包曰道治也者以治国之法不惟政教而已下文道之以徳謂道徳故易之但云道治也
<訓読>
<訓読>
<現代語訳>
<原文>
是方一里者十為一乗則方一里者百為十乗
<訓読>
是方一里なる者十を一乗と為せば、則ち方一里なる者百は十乗と為る。
<現代語訳>
四方一里十個分を一乗とすれば、四方一里百個分は十乗である。
<原文>
開方之法方百里者一為方十里者百毎方十里者一為方一里者百其賦十乗
<訓読>
開方の法、方百里なる者一を方十里なる者百と為し、毎方十里なる者一を方一里なる者百と為す、其の賦は十乗なり。
<現代語訳>
<原文>
方十里者百則其賦千乗地與乗數適相当
<訓読>
方十里なる者百は、則ち其の賦は千乗、地と乗の數と適して相当たる。
<現代語訳>
四方十里百個分だと、その賦役は千乗であり、土地面積と乗の数値は互いに合致している。
<原文>
故曰適千乗也
<訓読>
故に「千乗に適する。」と曰ふなり。
<現代語訳>
故に「千乗の国に匹敵する。」と言うのである。
<原文>
<訓読>
<現代語訳>
<原文>
包氏依王制云凡四海之内九州州方千里州建百里之國三十七十里之國六十五十里國百有二十凡二百一十國也
<訓読>
包氏は王制に「凡そ四海の内に九州、州は方千里、州ごとに百里の國を三十、七十里の國を六十、五十里の國を百有二十建つ。凡そ二百十國なり。」と云ふに依る。
<現代語訳>
包咸は『禮記』王制篇に「四海の内に九州あり、一州は四方千里であり、一州ごとに四方百里の国を三十、四方七十里の国を六十、四方五十里の国を百二十余りを建国できる。およそ二百十国である。」とあるのに依拠している。
<原文>
<訓読>
<現代語訳>
<原文>
<訓読>
<現代語訳>
<原文>
馬氏言名包氏不言名者包(何)氏避其父名也
<訓読>
馬氏名を言ふも、包氏名を言はざるは、何氏其の父の名を避ければなり。
<現代語訳>
馬融の名は述べ、包咸の名は述べないのは、何晏が父の名である「咸」を避けたのである。
<原文>
云義疑故兩存焉者以周禮者周公致太平之書為一代大典
<訓読>
「義疑わしき故に両つ在す。」と云ふは、周禮は周公の太平を致すの書なるを以て、一代の大典なり。
<現代語訳>
「「千乗の道」の意味する所は明らかでないので、代表する二つの解釈を収録した。」と述べているのは、『周禮』は周公が嘗て太平を成し遂げたことを記した書物であって、周一代の大典である。
<原文>