翔べないひよこのブログ

早稲田大学の三年生です。孔子の説く道を志して日々、儒学を学んでいます。専門としては古典中国学と明治漢学者の『論語』解釈になります。

『春秋公羊傳何休解詁』隠公⑤

原文 傳 曷為或言㑹或言及或言曁㑹猶最也 注 最聚也直自若平時聚㑹無他深淺意也最之為言聚若今聚民為投最 訓読 傳 曷為れぞ或いは「㑹」と言ひ、或いは「及」と言ひ、或いは「曁」と言ふ。「㑹」は猶ほ「最」のごときなり。 注 「最」は「聚」なり。直だ平時…

『春秋公羊傳何休解詁』隠公④

原文 傳 立適以長不以賢立子以貴不以長 注 適謂適夫人之子尊無與敵故以齒子謂左右媵及姪娣之子位有貴賎又防其同時而生故以貴也禮適夫人無子立右媵右媵無子立左媵左媵無子立嫡姪娣嫡姪娣無子立右媵姪娣右媵姪娣無子立左媵姪娣質家親親先立娣文家尊尊先立姪嫡…

『春秋公羊傳何休解詁』隠公③

経文「元年春王正月」のつづき 原文 傳 桓幼而貴隠長而卑 注 長者已冠也禮年二十見正而冠士冠禮曰嫡子冠於阼以著代也醮於客位加有成也三加彌尊諭其志也冠而字之敬其名也公侯之有冠禮夏之末造也天子之元子猶士也天下無生而貴者 訓読 傳 桓 幼にして貴く、隠 …

『春秋公羊傳何休解詁』隠公②

原文 傳 王正月也 注 以上繋於王知王者受命布政施教所制月也王者受命必徙居處改正朔易服色殊徽號變犠牲異器械明受之於天不受之於人夏以斗建寅之月為正平旦為朔法物見色尚黒殷以斗建丑之月為正雞鳴為朔法物牙色尚白周斗以建子之月為正夜半為朔法物萌色尚赤 訓…

『春秋公羊傳何休解詁』隠公①

「傳」は公羊傳を指し、「注」は後漢の儒学者である何休の施した注釈である。 原文 経 元年春王正月 傳 元年者何 注 諸据疑問所不知故曰者何 訓読 経 元年春。王の正月。 傳 元年とは何ぞ。 注 諸々の疑わしきを据え、知らざる所を問ふ故に「者何」と曰ふ。 …

2023年を迎えて

あけましておめでとうございます。 2022年は自分でもかなり勉強したなと思う年でしたが、今年はそれを継続しつつ更に深くしていきたいですね。 22年の前半は中国思想の本しか読んでませんでしたが、後半から徐々に西洋の哲学にも目を向け始めており、23年も…

『史記』夏本紀第二 (2)

今回は前回からの続きになります。 *アンダーラインを引いている箇所は自信の無い箇所です。 【原文】 當帝堯之時、鴻水[一]滔天、浩浩懷山襄陵、下民其憂。堯求能治水者、羣臣四嶽皆曰鯀可。堯曰「鯀為人負命毀族、不可。」四嶽曰「等之未有賢於鯀者、願…

『史記』夏本紀第二 (1)

再び『史記』を読んでいくことにしました。「五帝本紀」は以前に読んだので、「夏本紀」からになります。見ての通り[]内が注釈になります。アンダーライン引いている箇所は訓読・訳に不安がある箇所です。 *三家注(集解・正義・索隠)の訳が無いってすご…

『論語注疏』学而篇第七章「子夏曰賢賢易色〜」

今回は学而篇の第七章を扱います。現代語訳は注疏と合わした訳を心がけましたが、根本先生の『論語講義』に全く異なる解釈が書かれていたので、最後<補説>にて紹介したいと思います。赤字は阮元による校勘です。 <原文> 子夏曰賢賢易色 <訓読> 子夏曰…

『論語注疏』学而篇第六章「子曰弟子入則孝出則弟〜」

今回は学而篇第六章を扱っていきます。短いながらも、学問といかに向き合うかの示唆を与えてくれる章だと思っています。 なお、本文の現代語訳に関しては根本通明先生の読みを参考にさせて頂いてます。 <原文> 子曰弟子入則孝出則弟 <訓読> 子曰く、弟子…

『論語注疏』学而篇第五章「子曰道千乗之國〜」⑤

また少し間が空いてしまいました。今回で第五章の注疏は最後です。 <原文> 包曰作事使民至奪農務 <訓読> 「包曰作事使民」から「奪農務」に至るまで。 <現代語訳> 「包曰作事使民」から「奪農務」に至るまで。 <原文> 正義曰云作事使民必以其時者謂…

『論語注疏』学而篇第五章「子曰道千乗之國〜」④

一週間ほど間が空いてしまいました。今回も相変わらず、学而篇第五章の注疏の訓読訳になります。 <原文> 必有二法者聖王治國安不忘危 <訓読> 必ず二法有る所以は聖王の國を治むるに、安にして危を忘れざればなり。 <現代語訳> 出軍の法が必ず二つある…

『論語注疏』学而篇第五章「子曰道千乗之國〜」③

今回も前回の続きです。冒頭部にまた土地に関する話があります。 <原文> 又以此方百里者一六分破之毎分得廣十六里長百里 <訓読> 又此の方百里なる者一を以て六分して之を破らば、毎分に廣さ十六里、長さ百里を得る。 <現代語訳> 又、此の方百里一個分…

『論語注疏』学而篇第五章「子曰道千乗之國〜」②

前回からの続きで今回は疏から始まります。 <原文> 子曰道至以時 <訓読> 子曰くから時を以てすに至るまで。 <現代語訳> 子曰くから時を以てすに至るまで。 <原文> 正義曰此章論治大國之法也 <訓読> 正義に曰く「此の章大國を治むるの法を論ずるな…

『論語注疏』学而篇第五章「子曰道千乗之國〜」①

今回は『論語注疏』学而篇の第五章を扱います。古代の統治体制への言及があり、特に『司馬法』の説く所はイメージするのが難しく、此の箇所の読みにはとりわけ自信がないです。ご指摘等あればぜひお願いします。 <原文> 子曰道千乗之國 <訓読> 子曰く千…

『論語注疏』学而篇第四章

今回は学而篇第四章を扱う。 *太字は『論語』本文で、細字が注疏である。 <原文> 曾子曰 <訓読> 曾子曰く <現代語訳> 曾子が言うには、 <原文> 馬曰弟子曾参 <訓読> 馬曰く弟子の曾参なり <現代語訳> 馬融の言葉によると弟子の曾参のことである…

『論語注疏』学而篇第三章「子曰巧言令色鮮矣仁」

今回は学而篇の第三章を扱う。 <原文> 子曰巧言令色鮮矣仁 <訓読> 子曰く、巧言令色鮮ないかな、仁。 <現代語訳> 孔子先生が言うに「仁者と呼ばれる人に、言葉を巧みにして人に取り入り、自分の顔色を良くして相手を喜ばす者は少ないものだ。」 <原文…

『論語注疏』学而篇「有子曰〜」

今回は学而篇第二章の全文を掲載する。 <原文> 有子曰 <訓読> 有子曰く <現代語訳> 有子が言うには <原文> 孔子弟子有若 <訓読> 孔子の弟子有若なり。 <現代語訳> 孔子の弟子の有若である <原文> 其為人也孝弟而好犯上者鮮矣 <訓読> 其の人…

『論語注疏』学而篇「注包曰同門曰朋〜」④

<原文> 注包曰同門曰朋 <訓読> 注に包曰く「同門を朋と曰ふ」と。 <現代語訳> 注に「包咸が言うには「同門を朋という」。」とある。 <原文> 正義曰鄭玄注大司徒云同師曰朋同志曰友 <訓読> 正義に曰く「鄭玄、大司徒に注して「同師を朋と曰ふ。同志…

『論語注疏』学而篇「云時者學者以時誦習之〜』③

<原文> 云時者學者以時誦習之者皇氏以為凡學有三時 <訓読> 「時は學ぶ者時を以て之を誦習す」とは、皇氏以為く凡そ學ぶに三時有り、と。 <現代語訳> 「時は學ぶ者時を以て之を誦習す」とは皇氏によると「およそ学問をするに三つの時がある。」と。 <…

『論語注疏』学而篇「注馬曰子者至説懌〜」②

今回は前回の続きで学而篇第一章の残りの注釈部分である。「子」についての解釈を扱う。 <原文> 注馬曰子者至説懌 <訓読> 注の馬曰子者から説懌に至るまで。 <現代語訳> 注の馬曰子者から説懌に至るまで。 <原文> 正義曰云子者男子之通稱者経傳凡敵…

『論語注疏』学而篇「子曰學而時習之不亦説乎〜」①

今回から学而篇の本文に入っていく。注釈の量が多いので何回かに分けて書いていく。 *論語本文に関しては太字で、注釈に関しては細字で記す。 <原文> 子曰學而時習之不亦説乎 <訓読> 子曰く學びて時に之を習ふ、亦説ばしからずや。 <現代語訳> 孔子先…

学而篇序

前回の序文の量が膨大だったので、ひとまず学而篇に入ることにした。今回は学而篇の序全文である。 <原文> 正義曰自此至堯曰是魯論語二十篇之名及第次也 <訓読> 正義に曰く、此れより堯曰に至るまでは是魯論語二十篇の名及び第次なり。 <現代語訳> 邢…

『論語注疏』序①

お久しぶりです。夏休みに入ったこともあり、自分の漢文力向上の為に十三経注疏の『論語注疏』の訳をしてみることにしました。気持ちは高らかに始めたのですが、だいぶ難しくて辛かったです(特に官職とか厳しいですね。また別に勉強しないとなと思いました…

梁啓超『新民説』第九節 自由を論ず

自分の尊敬する梁啓超が自由について論じており、少しく思うところがあったのでここでその概略を紹介したいと思います。*『新民説』が書かれた当時の中国は列強による侵略の危機に晒されており梁としても早急に中国を立て直すことを信条にしており、現在の…